研究内容

横水研究室では,大電力や大電流を利用する電気機器において生じる物理的・化学的な現象や その制御技術に関する研究を主に行っています。 現在は,主に以下に示すような研究テーマを扱っています。

A.大電力・大電流制御に関する研究

大電流を扱う電気機器としては,電力系統に設置されるような 「遮断器」 や 車に搭載されている 「モータ」 および 「ヒューズ」 などが挙げられます。 これらの電気機器に共通している点が,動作の過程において機器内で「 アーク放電と呼ばれる高温のガスを生じる 」という点です。 このアーク放電は,これらの電気機器の寿命を縮めたり動作不良を起こす原因になる非常に厄介な現象です。 そのため, 「機器内においてアークを生成させないこと」 や 「生成されたアークを迅速に消滅(消弧)させること」 というのが必要になっています。

下記に示す研究テーマでは,このアーク放電の基礎的な物理・化学的な特性の解明やアークの迅速な消弧手法に関する研究を行っています。 詳細はこちら

A-1:高温ガスにおける熱分解粒子・熱力学・輸送・電気絶縁特性の計算

A-2:電力システムにおける環境調和型アーク遮断法の開発

A-3:自動車内DCシステム用ヒューズの高電圧化電流遮断法の開発

A-4:車載DCモータのブラシ・整流子片開離過程での電圧・電流の過渡推移

B.アーク測定および電流遮断に対する新技法適用に関する研究

遮断器内部でアークが生成されることを既に述べました。 遮断器内部生成されるアークの特性の解明のためには,アークの電圧や点弧位置および大きさなどの基礎的な情報を知る必要があります。 以下に示す研究テーマB-1では, アークの電圧やアークの形状を非接触で高精度に測定することが可能な測定方法の開発 に取り組んでいます。 また,最近ではアークを発生させずに電流を遮断することが可能な遮断器が注目されています。 研究テーマB-2では, SiC-MOSFETなどのSiC系のパワー半導体を用いることでアークレスで直流電流遮断が可能 な新しい遮断器の開発に取り組んでいます。 詳細はこちら

B-1:消弧室内アークの電圧および点弧位置に対する非接触計測法の開発

B-2:SiC系パワー半導体を用いたアークレス直流遮断技術の開発

C.交流・直流給配電システムの特性解明と運用に関する研究

近年では地球温暖化や安全性の観点から,再生可能エネルギーを利用した太陽光発電などが電力系統に組み込まれることが増え始めています。 出力がMW級のメガソーラーが配電系統に連係されていることも珍しくはありません。 また,電力固定買い取り制度(FIT:Feed-in Tariff)の制定以降,各家庭に小規模な太陽光発電装置が設置されるケースも年々増加しています。 従来の火力発電所や原子力発電所が一か所でまとめて大きな電力を発電していたのに対して, 太陽光発電装置などは様々な場所に分散して配置されてることから,分散型電源ともいわれます。 電力系統内に分散型電源が連係されると,逆潮流と呼ばれる現象が起こりやすくなり,これにより電力の品質が低下したり電力の安定供給が難しくなることがあります。 この研究テーマでは, 分散型電源が連携された配電系統において電力を安定供給するために必要な制御手法 などに関する研究を行っています。 詳細はこちら

C-1:配電および需要家内システムの運用と電圧制御方法