研究紹介Research
我々の研究グループでは、新規レーザー技術やレーザー計測技術の創出を目指し、可視−中赤外域の最先端かつ実用的な超短パルスファイバーレーザー光源を開発しています。開発したファイバーレーザー光源を利用して、光周波数コム、超広帯域スーパーコンティニューム、そして生体計測技術の開発を展開しています。
超短パルスファイバーレーザー光源の開発
単層カーボンナノチューブや光ファイバー中の非線形光学効果を用いた超短パルスファイバーレーザー光源を開発しています。これまでに光通信波長帯における極短パルス生成などの様々な成果を挙げています。
Nishizawa et al., Opt. Express 11, 325 (2009)
Senoo et al., Opt. Express 18, 20673 (2010)
Nishizawa et al., Opt. Express. 19, 21874 (2011)
Nishizawa et al., Photonics 2, 808 (2015)
ファイバーレーザーベースの光周波数コム光源の開発
モード同期レーザーから出力されるパルスは、スペクトルを見ると縦モードが等間隔に並んでいます。この様子が髪を解く櫛(コム)に似ていることから、光周波数コムと呼ばれています。光周波数コムは最も正確な時計として機能し、光学計測の分野で様々なブレークスルーをもたらしました。
我々の研究室では、超高精度計測の実現と新しい光応用技術の創出を目指し、ファイバーレーザーベースの近赤外−中赤外域光周波数コム光源の開発に取り組んでいます。
Tsuzuki et al., Photon. Res.4, 313 (2016)
Jin et al., Appl. Phys. Express., vol.10 012503 (2017)
Jin et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum. Electron. 24, 0900907 (2018)
Nishizawa et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum. Electron. 24, 5100409 (2018)
Saito et al., Opt. Express 27, 17868 (2019)
超広帯域スーパーコンティニューム光源の開発
スーパーコンティニューム(SC)光とは、広帯域の波長をもつレーザー光のことです。我々のグループでは、光ファイバー中の非線形光学効果を利用し、波長0.4−1.4 μmまたは1−2 μmにわたって平坦なスペクトルをもつ超広帯域光源の開発に成功しています。この波長の広帯域性かつ平坦性を活かして、高精度な分光計測、極短パルス生成などの新規技術開発を展開しています。
Nishizawa et al., Jpn. J. Appl. Phys. 40, L365 (2001)
Hori et al., Opt. Express. 12, 317 (2004)
Takayanagi et al., Jpn. J. Appl. Phys. 45, L441 (2006)
Nishizawa et al., J. Opt. Soc. Am. B. 26, 426 (2009)
Nozaki et al., Jpn. J. Appl. Phys. 53, 020301 (2014)
波長可変超短パルスファイバーレーザー光源の開発
超短パルス光の高いピーク強度と光ファイバーの非線形性を利用すると、従来では実現できなかった新しい光を生み出すことが出来ます。我々は、波長1.0−1.7 μmおよび1.5-2.0 μmまで超広帯域かつ高速に波長シフトが可能な超短パルスレーザー光源の開発に成功しています。
Nishizawa et al., IEEE PTL. 11, 325 (1999)
Takayanagi et al., IEEE PTL. 18, 2284 (2006)
Nishizawa et al., Opt. Express. 24, 23403 (2016)
超高分解能光断層計測技術の開発
光断層計測技術(OCT)は、非接触・非破壊で生体などの各種サンプルの断層情報を計測できる技術です。OCTは、医療や生物学分野の測定に幅広く利用されています。我々の研究グループでは、我々の開発した新規超広帯域ファイバーレーザー光源を利用した、超高分解能OCT技術の開発に取り組んでいます。
Nishizawa et al., Opt. Lett. 29, 2846 (2004)
Ishida et al., Biomed. Opt. Express 3, 282 (2012)
Hattori et al., Appl. Phys. Express 8, 082501 (2012)
Yamanaka et al., Appl. Phys. Express 9, 022701 (2016)
波長1.7 μm帯(第3の生体窓)の高侵達・超高分解能OCTおよび光断層顕微鏡(OCM)技術の開発
OCTイメージングの侵達長の向上のために、従来のOCTに利用されてきた波長帯よりも生体中における光損失が少ないと期待される波長1.7 μm帯光の利用に着目し、波長1.7 μm帯OCTおよび光断層計測顕微鏡(OCM)技術の開発に取り組んています。
Ishida et al., Appl. Phys. Express.4, 052501 (2011)
Kawagoe et al., Biomed. Opt. Express 5, 932 (2014)
Yamanaka et al., Sci. Rep. Express 6, 3175 (2016)
Kawagoe et al., Appl. Phys. Express 9, 127002 (2016)
Nishizawa, et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. 25, 7101115 (2019)
Yamanaka et al., J. Biomed. Opt. 24(7), 070502 (2019)
Yamanaka et al., Sci. Rep. 9, 16041 (2019).
近赤外光(第2および第3の生体窓波長帯)を用いた生体深部蛍光イメージング手法の開発
蛍光イメージング技術は、蛍光分子で生体中の観察対象(タンパク質など)を標識し、その蛍光分子からの発光を検出することで生体試料を観察する技術です。生体分子の分布やダイナミクスを高コントラストで観察できるため、生命科学分野の研究に幅広く利用されています。我々の研究グループでは、現在、生体透過性の高い第2と第3の生体窓波長帯で発光が得られる希土類添加ナノ粒子を用いた生体深部蛍光イメージング手法の開発に取り組んでいます。
Yamanaka et al., J. Biomed. Opt. 24(7), 070501 (2019)
Akino et al., SPIE Photonics WEST 201, 8Paper 10893-36