ホットワイヤー化学気相成長(HW-CVD)法とは、

(1)加熱したフィラメント表面上で原料分子が分解し、ラジカルが生成
(2)生成したラジカルと原料分子とが気相中反応し、ラジカルが生成
(3)生成したラジカルが基板上に堆積


原料分子の分解には、加熱したフィラメント表面上の触媒作用を利用しているため、
触媒CVD(Cat-CVD)とも呼ばれている。
特徴
◇ 原料ガス分子の分解効率が高い

HW-CVD法では原料ガス分子の分解効率が高い。すなわち、原料ガスの利用効率が高い。その結果、
膜堆積速度が速く、短い時間で目標とする膜厚の薄膜を堆積することができる。
◇ イオンの生成が無い
イオンは膜成長表面に入射してイオン衝撃を与える。それにより、膜構造はダメージを受け、膜特性は劣化する。
HW-CVD法では、加熱したフィラメント表面上でも気相中でもラジカルのみが生成され、イオンは生成されない。
そのため、イオン衝撃によるダメージが無く、高品質な薄膜を作製できる。
◇ 大面積均一な膜堆積が可能
フィラメントの設置の仕方をデザインすることにより、大面積で均一な薄膜を堆積することができる。
◇ 低温プロセス
低い基板温度で薄膜を作製することができる。そのため、ガラスやポリマーフィルムなどの上に薄膜を
堆積することができる。
例として、左図にHW-CVD法による水素化シリコン薄膜作製プロセスの模式図を示す。
シラン(SiH4)と水素(H2)を用いる。
 フィラメント表面上
     SiH4はSi と 4つのHに、H2は2つのHに分解
 気相中では
     SiH4 と H の気相中反応により SiH3 が生成
 基板表面上(膜成長表面上)
     SiH3 が表面反応により取り込まれ、膜堆積

ホットワイヤー化学気相成長(HW-CVD)法